浅葱色

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   注意され、更にテンションが下がった私。  厠のせいで、ただでさえブルーなのに、追い打ちみたいに感じて……つらい。  でも! 「俺は斉藤 一(サイトウ ハジメ)だ」  知ってる名前が聞こえたぁっ!  斉藤一……って、大物だよ! うひゃああ!  斉藤一って、あの斉藤一だよね! きっと間違いじゃないよね!?  居合いの達人で土方に忠実で優秀な幹部的存在の斉藤一だよね!?  まあ……現実はどうか知らないけど、私の読んだ小説じゃ、そんな設定多かったんだよぅ!  そんでもって見た目が……私のイメージ通りだ。  思ってたより背は高くないけど、スマートボーイっ!  なんで気づかなかったんだろう、イメージ通りの斉藤一だというのに……。目の前のスマートボーイが斎藤だなんて、少しも予想してなかったよ! 「さ、斎藤さん! これから宜しくお願い致しますっ」  勢いよく頭を下げた私は、イメージ通りの斉藤一に会えたことが単純に嬉しかった。  初対面だけど、小説通りのイメージと合致すると……ちょっとだけ親近感のような安堵が生まれて。  しかも、斎藤は土方みたいに怖くないし、ホッとする。 「こちらこそ、よろしく頼む」  小さく頭を下げた斉藤は、再び前を向いて歩き出す。  クールだ……!  無駄口を話さないクールキャラだよぅ!      
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