浅葱色

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   下がっていたテンションが、斎藤に会えたというだけで急上昇する。  だって、本当に嬉しいんだよ。誰も知らない中で、知っている人がいるっていうのは。  会ったことはなくても、本当に安心するの。  斉藤みたいに、他の人もイメージ通りだと嬉しいな……。  私の知る限りの新撰組の人と言えば、あとは藤堂平助に永倉新八、原田佐之助。  この人たちはいつも馬鹿騒ぎなイメージで。つまり……明るいってこと。  そして、近藤勇に山南敬介。  この二人は穏和で優しいイメージだ。  他には……関西弁の土方に忠実な山崎烝とか?  ん~と、他に誰が居たっけ?  忘れた……忘れちゃったや……。  とにかく皆が、楽しそうなイメージの新撰組で。今のところ、まだ分からないんだけど、雰囲気は悪くはなさそうなんだよね。  現実に、皆が仲良くて明るい場所であってほしいなー。なんて心で願ってしまうのは、こらから私の働く場であり、住まう場になるからで。  ギスギスしたところは、居づらいって思うからだ。  神様に願うよう手を合わせ一瞬目を瞑った。  そして、少ししてから瞼を開けば視界に入った大きな背中に思わず足が止まる。  おっとっと……もう少しで斉藤にぶつかっちゃうとこでした。 「ここが井戸だ」  淡々と言われ、コクリと頷いて見せる。  どうやって井戸まで来たんだっけな?  そんなに距離は無かったはずだから、恐らく厠から近い。  場所を確かめるために、歩いて来た方へ振り返る。  すると……、  廊下の向こう側から人の話し声が近づいて来たのが分かった。    
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