浅葱色

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   八重歯っぽい犬歯を見せながら笑う藤堂は、タイプでは無いけど……可愛らしさとかっこよさを持つクラスの人気者的な容姿を持っていそうな見た目をしていて。  これまた、お顔が良いです。 「初めまして。春日 仁菜です」  とりあえず、猫のことは横に置いて……自分株を上げるために自称可愛い笑みで挨拶……って、まったくこっち見てないんだけど藤堂ぅ!! 「パチ~、この人が今日からパチのご飯を作ってくれるよ~。良かったねぇ?」  私より猫優先んんんん!?  なにこの人、猫脳なの!? 「平助、もう一匹はどうした?」 「っ!?」  なん……だと!?  このスマートボーイまで猫の話を!? 「タイラは、押し入れで寝てるよ? 遊び疲れちゃったみたい。朝から僕と遊んでたしね」  ど、どんだけぇ~っ!  新撰組が猫を飼ってたとか初耳だし、藤堂も斎藤も猫好きなんて知らなかったよっ!  藤堂に至っては、朝から猫と遊んでた……なんて……夢中で可愛がりすぎじゃない? 「そうか。どうせお前のことだ、永倉さんの出迎えのために寝ていたパチを連れ出したのだろう?」 「そうじゃないよ。パチって、ぱっさんが好きなんだよ。だから、僕が連れ出さなくても勝手に出迎えちゃうしね。 ほら、彷徨かせたら土方さんが煩いしさ、だから連れてた方が良いかなって」  不意に二人の口から、ある人の名前が出てきた。  永倉……ぱっさん……。  ま、まさか……永倉新八の話かな!?  ていうか……猫に好かれすぎだよ永倉さん!  今の話が本当だとしたら、こんな広い屯所で猫自ら出迎えしてるってことだよ!?  うはー。なんかイメージが変わる。  悪い方じゃなくて、ゆるいイメージに変わってく。     
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