浅葱色

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   この時代の女は剣道なんてしないし、ましてや剣術なんてしないのを私は知ってるんだ。  なのに、女だけど稽古着を着てるんだから……ああ、そうか。“ 珍妙 ”とか“ こんなの ”と言われるのは、この服装のせいだ。  これじゃイメージアップどころか、イメージダウンにしかならないよ。  ……となると、すごく着替えたくなってきた。  でも、着物なんて着たこと無いし。着物買うお金だって無いしさ……。  今すぐ土方に相談したいとこだけど、土方怖いしな~。  ……いやいや、怖くても着替えはいずれ必要になるし、着替えなきゃ珍妙というイメージを払拭できないわけで……行かなきゃならないよね。 「うへ……、こんな格好してますが、剣術はまったく出来ないです」  土方に会うのを考えただけで疲れ、溜め息でちゃったよ。 「ふぅん。できないのか~。 ただ男装したいだけの子なんだね」  ぐはぁ……!  まるで変な子と言わんばかりのジト目で見ないで。  いたたたた……心が痛い。 「男装が趣味か?」  ガハァっ……!  傷が広がるぅぅぅぅ!  なっ……泣いても良いですか?  新撰組に来てすぐ、イメージマイナスへ突入した私の哀れさに……涙を流しても良いでしょうか……?     
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