浅葱色

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   下がっちゃったイメージは、もうどうしようもない。  ダウンしちゃったんだから、次はイメージアップをしなきゃいけないのよっ!  どこぞの螢に下げられた印象は、自力で上げるしかない!  瞼に焼き付いた沖田の姿を思い浮かべながら、私は斉藤の袖をツンツンと引っ張った。 「……なんだ?」 「あのですね、着替えたいです! この服のままじゃ、その螢って人みたいに剣術できると思われるみたいだし、変な子とか言われたくないですから!」  鼻からフンと気合いを放出すれば、斉藤は片手を顎に添えた。 「着物か……土方さんに聞いてみなければ、屯所には女性が着る予備の着物が無い。 着物の替えを持ってはいないのだろう?」  ああ、大方の話を聞いているのか、斉藤は。  私が何も持っていないことを……知ってるみたいだしね。  そう思いながら深く頷いて返すと、藤堂が口を開く。 「着替え、持ってないの? ほんとに螢ちゃんみたいだね」  まーた螢か……。  着物も持たずに新撰組に来るなんて、入隊できると思ってなかったのかな……?  それか、替えの着物を買うお金が無いくらいの貧乏で、貧乏故に新撰組に来たとか……?  てか、私ほどの貧乏じゃないだろうけど。  なんたって! 私は、無一文だからね!    
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