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憑いてると言われて思い出す中学二年の夏。
近所のおばさんに「アンタの後ろ、誰かいるよ」と言われて三日三晩眠れなかった恐怖は、今じゃトラウマ。
部屋で鳴る小さな音にもビクビクして、寝れなかった記憶が……!
憑いてるって意識したら、怖いんだよ~っ。
あっ……土方のこと馬鹿には出来ないや。同類だ……。
「憑いてるって……嘘ですよね?」
「…………」
「…………」
アイコンタクトをとっている二人は、表情が重い。
その反応は、まさかの真実ってことなんだろうか……。
そうだったとして、沖田や斉藤は見える人ってこと?
そんな見える人たちとこれから過ごすの!?
超怖いんですけどォ!?
「……総司?」
一人ビクビクしながら、私は顔を上げた。
沖田を呼ぶ声だ。
その声は、やけに遠くから聞こえて……幽霊か知り合いか!? ってビビリながら思ったんだけど、
……あっ、あぁぁぁぁあああ!
「お疲れさまです」
「やっぱり総司か。
こんなとこで何してんだ?
お前、稽古指南じゃなかったのかよ。斉藤まで一緒ってことは用でも頼まれたのか?」
話しながら近寄って来る蒼、
いや、浅葱色にダンダラ模様が視界に入った。
本物の新撰組の隊服だ……。
ゆるやかな風に靡き、太陽というスポットライトが当たる浅葱色は、目を惹きつけるものがある。
やっばい……、超カッコイイ!
会話そっちのけで隊服をまじまじ見てしまうのは、新撰組の象徴とも言える羽織の本物を目の前にしたから。
着ている男はそこそこ背が高くて、こりゃまた似合いすぎってくらいに似合ってるっ!
目の前に居る男とは別に、軽く会釈しながら横を通りすぎる浅葱色の群れ。
やっば……完全に本物だ。
なんというか……似合ってるし、様になってるし、圧倒されちゃうような感じ。
本物の新撰組って……やっぱり迫力があるよ……。
間違えた……。隊服である羽織を身に纏う本物の新撰組って、カッコイイだけじゃない、迫力と凛々しさがある。
隊服効果やべっすう!
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