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またさぁ~羽織を着てる目の前の男が色男で。ヤバすぎ!
背がそこそこ高くて、整った顔立ちから聡明さが際立ってんだけどさ……ちょっとばかし大人の雰囲気を漂わせていて、エロスが見え隠れしてんの。
こりゃモテるな……。
個人的な意見を言うならば、沖田ほどじゃないと思うけどね。
私のタイプは沖田だから。
「新しい女中の着物を買いに行くのか? 無一文で来るたァ、その女、余程切迫詰まってたんだなァ。
あっ、俺そろそろ行くわ。置いてかれちまってっから」
話し終えたらしく、軽く片手を挙げた男は颯爽と先を歩く群れへと足を進める。
超カッコイイ……。
タイプじゃなくても、胸がドキドキするよぉ。
羽織効果って絶大だね、まじで。
おかげで話を一つも聞いてなかった……見とれてたし。
はぁ~、沖田も似合うんだろうなァ~、見たいなァ~。
チラリと盗み見する気分で沖田を見ると、沖田は苦笑しながら口を開いた。
「永倉さん、この女の存在が目に入ってなかったですね」
「……ああ。春日が新しい女中と気づいていないようだった。気付かんのも無理は無いが」
ありゃ……私の話ですか?
「こんな格好だし、この女、間抜けな顔しかしてなかったですからね、仕方ないです。
僕が永倉さんと同じ状況でも、こんな阿呆っぽい女が女中とは思えないですもん」
あんれ~?
なんかさ、ひどい言葉が連発してるのは気のせい?
ていうか、気のせいってことにして下さい! 泣きそうだよ!
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