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「じゃっ、じゃあ、沖田さんの好きな女の好みとかありますか?」
バッサリ斬られてもメゲない! 少し心が折れそうだったけど、今日会ったばっかりだし。
急に会話がうまくいくとも……思わないよ?
今のままじゃ思えないしね。
沖田の好み調査のためにも、私は少しオドオドしながら新たな質問を投げた。
なんか、緊張する。好みを聞くだけなのに。ドキドキする。
「君以外かな~」
「え。え、えっと……私以外の女が好みってことですか?
私一人が好みとかではなく?」
あれ、聞き間違えたかな?
何かをぶった斬られた気がする。
確認するよう沖田を見れば、面白くなさそうな顔で長い髪を耳にかけていた。
うっとりするほどに綺麗な顔。
その顔の中にある口からは、
「君は好みじゃない。僕さ、僕に魅とれる女が一番嫌いなんだよね~」
痛恨の一撃になる言葉が放たれた。
バッサリ振ってくるなんて、生まれてから初めてなんですけど。
しかも、ナルシスト発言っていう……。
実際にモテそうだし何も返せませんけどね。
ナルシストになるのも分かるほどに、美しい顔をしてるから。
「……は、ははは。じゃ、じゃあ、私はともかくとして、他に女の好みとかありますか?」
既にフラれているんだけど、やはりそんな簡単にフラれてしまえば……逆に飲み込めなくて。
今は会話することに集中しようかな、なんて自分に言い聞かせる。
更には、会ったばかりだし。と慰めの言葉を自分の心で呟いた。
「……くだらない。もう寝よ。
林さんも大変だろうな~、お疲れ様で~す」
え! なっ、なに!?
質問をくだらないの一言で一蹴して、林さんとか知らない人を気遣いながら去ろうとしてるよっ!?
「まっ、待って下さい沖田さん!」
二人きりで会話できるのに、ここで去っては欲しくない! もっと、話したいよっ!
慌てて去り行く沖田の着物にしがみついた……その時。
きゅ、きゅ、急展開が!
「あっ……」
私が勢い良く沖田の着物の腕の部分を引っ張ったせいで、ズルリとはだける沖田の着物。
半分振り返った沖田の露になった肩に胸が視界に入って……これは、ヤバい。
素敵な肉体にドキドキが……止まらないよっ。
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