猫に負けた日

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   土方の説教は、あれから少し経てば終わった。グダグダ続くと思った私の予想は良い意味で外れて良かった。  さてさて。と部屋に戻る。  今日来たばかりの屯所。誰の部屋の場所とかは流石に分からないけど、自分の部屋と今日掃除をした風呂とか、あとは勝手場といわれる台所、そして厠と井戸は覚えた。  だから、部屋に戻るんだけど……結局、体を拭けずに戻る自分が虚しい。  今からまた井戸へ行く?  いやいや、しんどい。  長い説教に、疲れが更に蓄積された気がする。  主に説教の内容は、男漁りに来たんなら辞めちまえっていうクビになりそうな発言ばかりで。  ここで色事を求めるなっていう、恋愛禁止命令が下った。  いーじゃん。恋愛くらいさ?  人の心は縛ることが出来ねぇんだ! って言えたら良かったなぁ。  それに、もう遅い!  沖田に惚れてんだよ、私は。お美しいお顔と肉体に惚れない女はいない!  とはいえ……まったく相手にされてないみたいなんだけど。 「あーあ。さっさと寝よ」  一日の終わりは、テンションがやけに落ちていた。  部屋に戻って、慣れない着物を脱いで。畳み方も知らなければ、置き方も分からないから……とりあえず皺にならないように広げて置いて。  布団を敷いて、私はそこへ潜り込む。  あまりの疲れに、私の瞼は簡単に閉じてしまった。  翌朝がどれほどの時間に起床しなければならないかも知らずに、すんなりと闇へ意識を落とした。  
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