猫に負けた日

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   テンションが上がって、ご機嫌な私。起きて直ぐに布団を畳んで……顔を洗う前に着替えようかと思ったんだけど……着物だ。 「やべっ。着方分からない……」  メンズしか居ないから、流石に襦袢じゃ出にくいな……なんて思って着替えようとしたんだけど。  私……着物の着方を知らない……。  ど、どどど、どうしよう!?  さっきの人は、もう部屋から出てしまった後で。っていうか、寝起きでこんな現実を味わうなんて思ってなかったし! 「通りすがりの人に……着方を教えてもらう? いやいや、ピチピチな私のこんな姿を見せるのは……怖い……カモ」  一応、女の子だし。  何より、着付けてもらう過程で何かあっても……ね?  自分の腕で自分を抱いた。  女の子な私は、念のためを危惧していて……この状況が不安で仕方ない。 「どうしよう……まじで着れないんですけど」  とりあえず、昨日と同じ着物に手を伸ばす。というのも、仕立てに出している着物は手元になくて。仕上がった状態の着物はまだ使いたくない。  どうせ、掃除に洗濯、雑用のアレコレはしなきゃダメで、汚れちゃうんだ。  それに、お風呂にも入れてないしなー。  手に取った着物を自分で着てみる。でも、羽織ってみたのは良いけど……どうやって裾を合わせるの?  下を向いて、裾を確認するけど、後ろが引きずってたりする。  そっちを気にして、出来たと思えば、紐を結ぶ時に落ちてく。  やべっ。本格的に無理なやつかも。  胸に落とした呟きは、溜め息となって口から出された。 「はぁ~。出来ない。着れない、まじで無理だよー! 何で着物になんだろ、ジャージくれよ!」  履いて、着てお仕舞いのジャージが欲しくて堪らない。  不便すぎるよ、着物おおおお! 「すいやせぇん。春日さん、入っても良いですかィ?」 「え……え。ちょ、ちょっと待って下さいっ」  
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