314人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
テンションが上がって、ご機嫌な私。起きて直ぐに布団を畳んで……顔を洗う前に着替えようかと思ったんだけど……着物だ。
「やべっ。着方分からない……」
メンズしか居ないから、流石に襦袢じゃ出にくいな……なんて思って着替えようとしたんだけど。
私……着物の着方を知らない……。
ど、どどど、どうしよう!?
さっきの人は、もう部屋から出てしまった後で。っていうか、寝起きでこんな現実を味わうなんて思ってなかったし!
「通りすがりの人に……着方を教えてもらう?
いやいや、ピチピチな私のこんな姿を見せるのは……怖い……カモ」
一応、女の子だし。
何より、着付けてもらう過程で何かあっても……ね?
自分の腕で自分を抱いた。
女の子な私は、念のためを危惧していて……この状況が不安で仕方ない。
「どうしよう……まじで着れないんですけど」
とりあえず、昨日と同じ着物に手を伸ばす。というのも、仕立てに出している着物は手元になくて。仕上がった状態の着物はまだ使いたくない。
どうせ、掃除に洗濯、雑用のアレコレはしなきゃダメで、汚れちゃうんだ。
それに、お風呂にも入れてないしなー。
手に取った着物を自分で着てみる。でも、羽織ってみたのは良いけど……どうやって裾を合わせるの?
下を向いて、裾を確認するけど、後ろが引きずってたりする。
そっちを気にして、出来たと思えば、紐を結ぶ時に落ちてく。
やべっ。本格的に無理なやつかも。
胸に落とした呟きは、溜め息となって口から出された。
「はぁ~。出来ない。着れない、まじで無理だよー!
何で着物になんだろ、ジャージくれよ!」
履いて、着てお仕舞いのジャージが欲しくて堪らない。
不便すぎるよ、着物おおおお!
「すいやせぇん。春日さん、入っても良いですかィ?」
「え……え。ちょ、ちょっと待って下さいっ」
最初のコメントを投稿しよう!