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「調子になんて、乗ってません。それに、ツルペッタンは言い過ぎじゃないですかっ」
着付けてもらっていながらも、私は少し強めに言った。
自覚できている胸の大きさではあるけれど。山ではない丘くらいの膨らみはあるんだっ!
ツルペッタンなんて……ひどすぎるっ。
「……そうムキになるほどのことでも無ェでしょう」
呆れた、と聞こえてきそうな声で、更にはハァと無駄に深い溜め息までもらってしまった。
なんなんだ、この男は。
そんな溜め息を吐いていながらも、顔は笑ってるんだよっ!
からかわれてる?
反応を面白がられている?
「と、とにかく、今のツルペッタンは取り消して下さいっ」
「事実を前に嘘を並べるこたァ言いかねます。
少し腕を上げててもらえねェですかい」
「っ……」
く、くっそ~!
なんで、こんなに流暢な喋りで私を攻撃するんだぁ!
この男、いったい何なのよ!?
そうは思っても、言われた通りに腕を上げたけどねっ!
早く着付け終わって、コイツから離れたいっ!
さっきまでテンション上がってたのに……台無しな朝だっ!
ってゆうか、この人は誰なのよ!?
「…………」
貴方は誰ですか? と聞こうとしたけど、私の口が動かない。
ヤな奴だと思っているから尚更。名前を聞きたくないばかりか、何だか話したくもなくなってきた。
ヤな奴は、ヤな奴のままでいーや。関わりたくもないしっ!
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