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好きになれない。
媚びるような目は、特に嫌いだ。
しかし、僕は男であるために女を求める生き物で。自身の万全を保つために女を抱くこともあった。
だけど、それは商売での女の話であって、寄ってくる女に優しくしたことは無い。都合よく使ったことも無い。
だいたいの女は、顔が良いからって理由で寄ってきているだけだし、優しくする必要性を感じられない。
そんな僕とは違い、周りの人たちは沸いて出てくる女に優しくするのだから不思議だ。
まァ、最近じゃ永倉さんが僕に似てきていると思う。
……いや、僕よりもっとタチが悪いかもしれない。
永倉さんは、屯所内じゃ女好きで有名だったのにな~。
あの子が現れて、すっかり変わってしまった。
あの子は……今も誰にも媚びず、生きているんだろうか。
今も、あの強さを磨いて更に強くなっているに違いない。
僕と似たような冷たさを持ち、それを隠すことなく人を斬る。
溢れ散る血を憎みながらも慈しむ……修羅。
僕が憧れた、初めての女の子。
男と女の柵を容易く越えたあの人は、僕に目もくれないが……いつかあの人の瞳に僕を映せたら、どれだけの高揚感に胸が踊るのだろう。
考えただけで、顔が綻ぶ。
……そんな僕の機嫌を害する者は、媚びるような、惚けているような目を僕に向けていた。
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