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「よし、じゃあ帰るか!」
歩き出そうと足を踏み出した瞬間、ブレザーの裾を誰かに掴まれた感触がした。
振り返るとそこには、胴着袴姿の小柄なショートカット女子がいた。
右手はしっかり俺のブレザーの裾を掴んだまま。
あれ? てかこの子、うちのクラスにいた?
「あれ? 佐々木じゃん」
俺が口を開こうとした瞬間、横から健吾が顔を覗かせてきた。
おい、今俺が喋ろうとしたんだぞ。
「えと、その……うぅ」
佐々木さんは何故か顔を俯かせてしまう。髪が短いためかちょこんとはみ出た耳が真っ赤になってるのがよくわかる。
「えっと、どうした佐々木? なんか俺たちに用でもあるのか?」
俺が出来るだけ優しく声をかけるように務めると、佐々木さんはゆっくり顔を上げた。
クリッとした瞳。少し大きめな胸(俺の勝手な洞察眼)。
それに加えて上目遣いプラス涙目。
佐々木さん。それは反則っすよ。
うーん、もしかしてこれが萌えというやつか。
「あの…………弓道やりませんか!!」
へ?
「え、何をやるって?」
聞き間違いかもしれないから、もう一度聞き直してみる。
「え!? あぅ…………」
しかし佐々木さんは顔を真っ赤にして再び俯いてしまう。おいおいマジか。
髪が短いせいか、耳まで赤くなってるのが確認出来た。
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