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「つ、着きました……ここです。」
学校を出て数分。目的地に到着したようだ。
「うわぁ……すげえ。」
決して建物内自体が大きいというわけではないのだが、威圧感のある雰囲気。貫禄のある看板には『市立北高等学校弓道部』と書かれている。
「古井君……は、早く入って?」
門を開け、入るように促す佐々木さん。
なるほど、確かにこの門を一人で潜るのは勇気がいるな。
俺は意を決して佐々木さんの後に続く。
「失礼します」
「し、失礼しま~す」
やや緊張気味に道場に入る。畳の匂いが俺の鼻をくすぐり、どことなく懐かしさを感じさせる。
てかすげえ! 皆弓射ってるよ!
まあ、当たり前だけどね。
道場内には弓を射る人以外にも、何人か部員がいた。あれ? 男子がいないのは気のせいかな?
「部長、こんにちは」
佐々木さんは弓を射ってない部員の一人に声をかけ、挨拶をする。
どうやらあの人が部長らしい。
「こんにちは。ん? その子は?」
佐々木さんの後ろにいる俺に気がついたらしい。
だが俺はそんなことに気づかず、弓を引いてる人たちに目を奪われていた。
「えっと、うちのクラスメイトの古井君です。今日は見学という形で来たのですけど……。」
佐々木さんは俺の代わりに何故俺がここにいるのか説明してくれた。
「見学ね。うん、わかった。じゃあ、真里ちゃんは準備していいよ」
佐々木さんは「わかりました。」と返事をして、自分の支度を始めた。
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