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俺は畳の上に座るよう促され、正座をして座った。
それにしても、さっきはぽけ~っと見ていただけだったが、改めて見ると凄い迫力だ。
弓を引いてる人たちは皆真剣そのもの。
そして道場内の空気も張り詰めていて、とても会話が出来るような状態じゃない。
でも、不思議と嫌な感じがしないな。この空気。
そんな時、突然道場内が拍手で包まれた。
「え!? な、なんだ!?」
誰かお偉いさんでも来たのか!?
「これはね、皆中(かいちゅう)って言ってね。四本引いて全部中ったときのことを言うんだよ。」
隣に座っていた先輩と思わしき女子部員が教えてくれた。
へ~、四本全部中ると皆から拍手が貰えるのか。そら嬉しいな……。
しかし、皆中をした本人は喜ぶようなそぶりは一切見せず、さも当然だというような雰囲気を纏っていた。
「あの人はうちの部のエースで三年の桜井 真琴先輩だよ。あ、ちなみに私は二年の吉田 奈実。よろしくね古井君。」
吉田先輩はそう言って俺に微笑んでくれた。
反射的に顔を背けてしまう。
だあー! なんで女子の笑顔ってこんなにキラキラしてるんだ! 眩しすぎるぜ!
「どうしたの古井君?」
「い、いや、なんでもないっす!」
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