どうする? 部活動

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新入生の部活動見学時間が終わり、俺は道場を出ることにした。 「それじゃあ、失礼します」 出来る限り礼儀正しく頭を下げる。 先輩方は「じゃあねー!」とか、「入部待ってるよー!」とか言ってくれた。 正直嬉しいけど、照れます。 「あ、あの……古井君」 「あ、佐々木さん。部活頑張ってね」 「う、うん……えっと……その……待ってるからね?」 顔を真っ赤にしてボソボソと言われたその言葉に俺はただ焦るしかない。 佐々木さん、それは故意でやってることなのかい? キュンときました。ありがとうございます。 そんな初々しいカップルのような反応を見てクスクスと笑う先輩方。 恥ずか死ぬわ、俺。 「じ、じゃあね。佐々木さん」 「う、うん」 道場を出た後も俺の顔は熱を帯びたままだった。 ああ、風が気持ちいいぜ。 俺は停留所でバスを待ちながら、鞄から今日学校で貰った入部届けを取り出した。 「…………」 弓道……か。 女子ばっかりの部活だけど、あの部でなら頑張れる気がする。 それ以上に先輩たちが弓を引いてる姿が俺の脳裏に焼き付いて離れなかったのだ。 どんなスポーツかわからない。 文字通りゼロからスタート。 でも、それも面白いかもしれない。 誰もやったことのないことを、あえて挑戦してやり通すというのも。 不意に佐々木さんの顔が頭に浮かんで、また顔が熱くなった。 佐々木さんはああ言ってくれてるし、なんか知らないけど歓迎されてないわけじゃない。 まあ、なんとかなるよな……。 よし、明日から頑張るか! そのとき、丁度良いタイミングで来たバスに俺は入部届け用紙を鞄にしまい、急いで乗り込んだ。
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