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次の日。
俺は顧問の先生に入部届けを出しに行って、無事入部することが出来た。
「女の子ばかりの部活だけど、頑張ってね」と言われ、若干決意が揺らいだのは内緒だ。
因みに俺たちは今、授業の真っ最中。
英語の授業なんだが、思っていたほど難しくはない。中学英語の発展系という感じで、中学生できっちり勉強していればそんなに苦に感じることもない。
「う~ん、う~ん」
後ろで唸ってるやつは例外のようだが。
俺は先生に気づかれぬように、後ろを振り向き、周りに聞こえぬよう小声で声をかけた。
(なあ、そんなに唸ってどうした?)
(おお俊太! 聞いてくれ。なんでreadの過去分詞はreadのままなんだ?)
(はあ? そんなもん中学で習っただろ? 現在形のreadはリードって読み方だけど、過去分詞になるとレッドになるって)
(お前バカだろ。単語が変わってないのに読み方が変わるわけないだろ)
どうやらこいつは真性のバカらしい。
「おいそこ! 何話してる!?」
黒板の方に振り返ると、怒声を放ったと思われる英語教師がこちらを睨みつけていた。
ほら見ろ、先生に見つかったじゃないか!
……ん? そうだ、いいこと思い付いたぞ!
(なあ健吾。先生にDo you like KATURA? って聞いてみ。きっと成績上げてもらえるぞ)
(マジで!? サンキュー!)
俺の真意をこれっぽっちも理解していない健吾は、俺に快くお礼を言うと椅子が倒れるくらいの勢いで立ち上がった。
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