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時間は飛んで放課後。
俺は弓道場に行くために、健吾はバイトに行くとのことで校門で別れた。
そういやバイト受かったらしいな。よし、今度冷やかしに行ってやろう。
「ふ、古井君~」
後ろを振り返ると、トタトタと歩いて来る佐々木さんの姿が見えた。
う~ん、いつ見ても癒されるな。
「はぁ……はぁ……ふ、古井君、え、えっとね」
佐々木さんは息を必死で整えようとしているが、ここから昇降口まで二十メートルないぜ?
「い、一緒に行こ?」
息が上がってるためか、若干顔に赤みがある。膝に手をついて息を整える姿にまた俺はドキッとした。
「うん。じゃ、行こっか」
俺は出来るだけ平静を保ちながらそう提案する。
「うん!」
歩いて数分で目的の道場に到着した。
昨日と同じように「失礼します」と一礼して俺と佐々木さんは道場に入る。
「あ、真里ちゃんこんにちわー。あれ、古井君?」
中に入ると部長が何か細長い物を取り出しているのが目に入った。
おそらく弓かなんかだろうと、俺は結論付けて、部長の方に向き直り頭を下げた。
「こんにちは部長。えっと、今日から入部することになった古井です! よろしくお願いします!」
そんな俺の姿に部長は何が可笑しかったのか、クスッと笑い、
「そんなかしこまらなくていいよ~。それに自己紹介は昨日したしね。改めてよろしく」
部長は柔らかな笑顔を俺に向けてきた。
とりあえず、歓迎されてはいるということに気づいた俺はホッと胸を撫で下ろす。
「はい!」
勢いよく返事をする。
こうして、俺の弓道部員としての生活が始まった。
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