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その教師はガラガラッと教室の戸を開けて教卓の上に立つ。片手には出席簿と思わしきものを持っていた。
「お前ら席につけ~って、もう着いてるな」
俺たちの顔を見合わせ言うその人は見た目三十代前半の男性教師。
ズボンからシャツがはみ出てるのは俺の気のせいだろう。
「今日から一年間、このクラスの担任を受け持つ事になった安藤 太郎だ。よろしくな」
くしゃくしゃと自分の髪をかく安藤ティーチャー。
声にまるで覇気がないのが悲しい。
そして、うん、太郎か……普通の名前だな。
「因みに今俺の名前が普通だな、とか思った奴はぶっ飛ばすからな」
いきなり物騒なことを初対面で言ってのけやがったよこの人!
背中から教職者ならぬ闇のオーラが半端なく出てるし!
「俺を呼ぶ時は"安ちゃん先生"だからな。それ以外は無視するから」
安藤先生改め安ちゃん先生、あんた本当に教師か?
初対面の生徒たちに権力振りかざし過ぎだろ。
あれか?
生徒を服従させるのは初めが肝心とか考えてるのか?
「そんじゃ、とりあえず自己紹介いっとくか。おい新井。やれ」
「は、はい!」
出席番号一番の奴が慌てて立ち上がる。
立ち上がるときに躓いたのには誰も突っ込まなかった。
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