682人が本棚に入れています
本棚に追加
それから十分程で自己紹介は難なく終了した。
一応補足説明すると、うちのクラスは女子二十人、男子十五人。
若干女子の方が多いのだ。
健吾は「ハーレムだ!」とか言って喜んでいたが、多分そんな上手くいくはずないだろうと俺は思ったが、口に出すのはやめておいた。
「自己紹介は終わったな。早くお互いの顔を覚えて仲良くしろよ」
教師っぽい事言ってるけど、ただ一つ言えるのは、ネクタイ緩めながら言う事じゃないよねそれ。
それから連絡事項を簡単に説明して、HRは終わった。
HRが終わると、授業がない一年生はそのまま放課後となった。
「俊太~。お前これから暇?」
「ああ、まあ」
「マジ!? ?じゃあさ、」
言いながら健吾は鞄から何かを取り出す。
「駅前に新しい回転寿司がオープンしたらしいから、一緒に行かね?」
そう言いながらチラシを渡された。
なになに……『回転寿司 タケロウ 新装開店オープン』……え!? ?一皿80円!?
顔を上げるとニヤリとした健吾。
やるではないかお主。
「行くに決まってんだろ!」
二つ返事で俺は答えた。
どうやら自己紹介のときのことを覚えていてくれたらしい。
「その言葉待ってたぜ! ?んじゃ行くか!」
健吾の屈託のない笑みを筆頭にして、俺たちは意気揚々と教室を出ていった。
「あの……あうぅ」
後ろの方から誰かの声が聞こえた気がしたが、多分気のせいだろう。
そう結論付けて俺と健吾は振り返ることはせず、そのまま昇降口へと降りて行った。
最初のコメントを投稿しよう!