それぞれの前触れ

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きっと私の顔、今赤くなってるんじゃないかなぁ…? 「あとで取りに来ますので、あの、食べても食べなくても、置いといて下さい」 そこまで言うと私は、足早に社長室から出ていった。 バタン。 ドアが閉まるのと同時に一気に息をはく。 「ふぅぅぅぅ」 社長の側は、なんて息苦しいんだろう…。 「あぁ。これだけで疲れちゃったかも」 でも、断られなくてよかった。 名前まで呼ばれちゃったし…。 …なんで下の名前? …別にいいけど。 とにかく座りたくて、またカウンターまで戻り椅子に腰かけた。 平常心を取り戻すのに、少し時間がかかった私だった。
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