33620人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「俺は、嫌われてなんぼだな」
社長もこういうときがあるんだ…。
俺様な部分しか見たことがなかった。
社長でも、私と同じように悩んだりへこんだりするんだね。
私は社長の側に行き、テーブルに緑茶を置いた。
「私は、会議の内容は難しくて、はっきり言ってわかりません」
社長は黙って私を見ていた。
「でも、やっぱり社長がいなきゃ、ダメだと思います」
私は、うまく気のきいたことは言えない。
でも、社長も私と同じように考えたりする姿を見て、自然とでた言葉だった。
そっとその場から離れ、部屋を出ようとドアを開けたときだった。
トンッ。
社長の右手がドアを押さえつける。
ん?
ゆっくり振り返ると、社長が後ろに立っていた。
「…社長?」
ドアを押さえていた右手が、私の左頬を撫でたかと思うと、あっという間に社長の顔が近づいた。
唇が重なる。
私は何がなんだかわからず、ただ目を見開いて立っていた。
一瞬唇が離れたかと思うと、次は深く激しく重なる。
最初のコメントを投稿しよう!