なんで私?

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幸恵と話していると、課長が私に気づいて近づいてきた。 「相沢くん、おはよう」 「おはようございます。課長」 笑顔であいさつをかわす。 「さっき専務がここまで来てね。君を呼んでいるんだ。悪いが今すぐ、専務室まで行ってくれんか」 やっぱり私? 「あの、どんなご用件でお呼びなのでしょうか」 「それは直接専務と話してきてくれ」 「…わかりました」 課長は用件を伝えると自分の持ち場に戻っていった。 そのやりとりを見ていた幸恵はうらやましそうな表情で。 「いいなぁ、専務と直接話せるなんて~。私も専務とお話ししたい~」 「幸恵、静かに」 「どうする?いきなり専務に抱きしめられたらぁ!あのメガネをとって、見つめられちゃったらぁ!」 幸恵の頭の中は色恋だらけなのね。私はキャッキャとはしゃいでいられないよ。 「もぅ、変な妄想やめてよ」 専務に呼ばれるなんて、いったい何だろう。でも、課長に行けと言われてるのだから、行くしかないよね…。 「私、専務室行ってくるね」 幸恵にそう伝えて、社長室の下の階にある専務室に向かった。
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