秘書と野獣

なんで私？

あいさつをして一礼。顔上げると、専務は優しい笑顔を向けてくれた。

「おはようございます。相沢さん」

片桐誠（ｶﾀｷﾞﾘﾏｺﾄ39歳）スラッとしたスタイル、メガネがとても似合っていて確かに知的な感じ。

40歳手前って聞いてたけど、全然若く見える…。

たしかにシャープな面持ちなんだけど、意外と柔らかい雰囲気で話すので驚いていた。

「どうかしましたか？」

声をかけられ、勢いよく左右に首を振る私。

「いえ、どうもしません！」

あぁ…きっと私緊張してるのバレバレだよね。

とにかく、本題に入ろう。

「あの、私何かしてしまったのでしょうか？」

「別に、何もしていませんよ」

その答えに今日三回目の？

専務がニコッと笑う。

「どうぞ。かけてください」

そう言われ、ソファーにかけようか悩んでいると、専務がデスク側からこちらにきてソファーに座った。

私もそれを見て、仕方なく従うことにした。正面に座るとさらに専務の顔がよく見える。