なんで私?

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いつの間にかさっきの秘書の方はいなくなっていた。 専務と二人きり、沈黙が続いて緊張で押し潰されそう…。 目を合わせることができず下をむいてると、その沈黙を破ったのは専務。 「相沢さん」 呼ばれて専務に顔を上げる。 「明日から、社長の秘書になっていただきます」 「…はい?」 意味がわからない。専務は何を言ってるの? 私が口を開けてポカンとしていると、専務がまたニコッとした。 「前の秘書の方が昨日付けで辞めてしまいまして。困ってるんです」 そう話す専務の顔は全然困っていないような…。 「あ、あの…意味がわからないんですが…」 「あぁ、大丈夫。ちゃんと今日一日使って仕事内容を理解してもらいますので。そんなに難しいことではないですから」 「ちょっ、待ってください。そういうことじゃなくて!」 今度は専務が私を見つめる。 「なんで私なんですか?」
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