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光が収まっても、彼らは一向に動こうとしなかった。まだ追っ手が辺りに潜んでいるかもしれないからだ。
光が出たからには、光を出した誰かが必ずいる。そいつが一人だけだとは限らない。
それに、眩しい光によって彼らの目は暗闇では見えにくくなっており、彼らに気づかれずに近づいて捕らえることもできる。
だからむやみに動いてはいけない。
それに、安全に行動するためには、目を再び暗闇に慣れさせなければならない。
彼らは30分もの間、物音を立てずただじっと向こうの薮の様子を伺った。
しかし、どれだけ耳を澄ましてもあの光以降何の音も話し声も、呼吸の音でさえも聞こえて来ない。
あれはただの光で周りには誰もいない。
そう判断して草村から出ると、先程光った薮を確認しに行った。
「・・・!!」
薮を覗き込んだ彼らが見たものは、地面に俯せに倒れている一人の青年だった。気を失っているようで、ちっとも動かない。
「おい、誰だ?こいつ・・・」
「それよりも、これは一体・・・」
彼らが驚いているのは、その青年が来ている着物。
この時代の着物ではないし、さらにその服に書かれている奇妙な文字や模様。
「もしかしてこいつ、噂に聞く南蛮人か?」
「たしかに。俺は一度南蛮人を見たことがあるが、そのような着物を来てた。」
泥棒達が自分の考えを言い合っていると、親分が咳ばらいをして言った。
「とにかく、こいつを隠れ家に連れていって話を聞こう。寅助、お前担いでけ。」
「え、よろしいので!?」
「うむ。なんかわしはそやつが気になってな。」
寅助と呼ばれた男はその青年を担ぐと、隠れ家に向かって歩きだした。
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