12人が本棚に入れています
本棚に追加
うーん・・・
玲人はどこからか聞こえる鳥の鳴き声によって、ゆっくりと目を覚ます。
まだ寝ぼけたままの頭で、今自分がいる場所がどこかを理解するために周りを見回した。
蜘蛛の巣が張っている薄汚い天井に、所々破れて穴が開いている障子。
「いてて・・・」
起き上がると同時に、頭に痛みが走る。玲人は頭を押さえた。
今まで気を失っていたのか、頭がクラクラする。それに、頭痛もある。
「どこだ?ここは・・・」
玲人は頭痛を堪えながら、今自分がいる場所がどこか、何故ここにいるのか必死で思い出そうとした。
何故ここにいるのか。その理由はすぐに見つかった。
゙タイムワープ装置″だ。
あの装置の光に飲み込まれ、気がついたらここにいた。つまり、どこかの時代にタイムスリップしたことになる。
じゃあ、何年だ?
部屋の様子からして、ここは日本。しかもかなり昔のようだ。
障子に天井、畳が敷かれていない板間に茣蓙。それに床の間もある。
床の間に掛け軸はかけられていないが、こんなボロい部屋の割にはしっかりと作られている。
それに、脇には立派な違い棚まで。
・・・違い棚?
まてよ・・・
たしか授業でやったはずだ。
床の間に違い棚といえば、あの有名な書院造の部屋だ。
書院造は鎌倉時代にできた、武家風の部屋だといわれている。
じゃあ・・・ここは鎌倉時代!?
いや、それ以降っていう事も考えられる。
玲人が必死に考えていると、誰かが廊下を歩いて来る足音が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!