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「おや、もう起きたかい。具合はどう?」
そう言いながら入って来た人は、容姿端麗な女性だった。
大人っぽい顔立ちに、細くすらっとした体。腰くらいまである長く美しい髪を一つに束ね、真っ直ぐ下ろしている。
「え?ああ、はい。お蔭様で。」
玲人がそう応えると、女性はうん と頷いた後少し困った顔になる。
何を話そうか悩んでいるような顔。そのように感じた。
「あんたってさ・・・どこから来たの?」
そう質問され、今度は玲人が困った顔になった。
ここで「未来から来ました」なんて答えたら絶対に信じてもらえないし、逆にバカにされる。
それにここから追い出されたら、どこで生活すればいいの?
ここは記憶喪失を装ってやり過ごすしかないだろう。
よし、記憶喪失ですよ大作戦スタート!
「あ・・・分からないです。」
「分からないって?」
「自分の名前以外全く覚えてなくて。記憶を・・・失ってしまったみたいで。」
「そうかい・・・。それは大変だったね。山の中で倒れていたのを家の輩が見つけてここまで連れて来たんだから。こんな変な着物を着て。」
と、言いながらその女性が取り出したのは・・・
「あ、俺の服!!」
紛れも無く俺のア○ィダス!
その他あの日着ていたものがすべて。
「何か思い出したかい?やっぱりあんたのだったんだ。でもこんなのどこで手に入れたの?」
「いいから返せ!それは俺のもんだ!」
「返せだなんて、可愛くない。せっかく助けてあげたのにその言い方はないよ。欲しければ奪い取ってみな!」
なんだと!?
玲人は立ち上がるとその女性が持っている服目掛けて飛び掛かった。
しかし・・・
ドンッ!
「え・・・」
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