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そこに座るのは、がっしりとした体つきの男。髪はぼさぼさ、顎に髭を生やし、あぐらを組んでこちらをじっと見ていた。
玲人が想像する親分とはずいぶん掛け離れた印象の男だ。
まるで悪党のようなその男は、玲人をまじまじと見つめた後「フッ」と唇の端を吊り上げるとそこに座るように手で合図をした。
玲人は指示されたとおり正座すると、 ゙親分″の発言を待った。
この人が誰なのか全く分からないが、歴史上有名な人物である可能性は高い。つまりこれは、偉人との出会い!なんかすごくドキドキしてきた・・・
「おめぇ、気分はどうだ?」
「ええ、おかげさまで。」
「そうか・・・。」
その男の声は低く、そして響くような感じがした。それにあの目・・・。まるで心の奥底まで見透かされてしまうような、そんな眼差し。
なんか恐い。
「それでおめぇ、山の中で何があった?」
「山の中?」
山・・・?
「そりゃそうか、おめぇは気ぃ失ってたからな。」
そうなんだ・・・。
つまり、タイムマシンによって過去に送られた俺は、山の中で気を失って倒れていたところをこの人達に助けられたということか。
やっぱり、この人にも嘘ついておこうか。
恐いけど・・・
「それが分からないんです。何かしらショックを受けてしまったらしくて、ほとんど記憶が無いんですよね。」
玲人の発言を聞いた ゙親分″はすぐに怪訝そうな顔になった。
何か変なこと言っちゃったのかな?
玲人のことを訝しげに、ただじっと見つめた後、 ゙親分″はこう呟いた。
「しょっくとは・・・なんだ?」
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