第一幕  1593年

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「それは・・・処刑されたんです。豊臣秀吉に。」 「処刑、しかもあの猿によってか!火炙りか?それても磔か?」 「それは・・・俺の口からはとても。」 さすがに言えねぇよ。 五右御門が想像しているものよりも残酷で酷い処刑だとは。しかも一人の子供とともにだなんて・・・ 「まあいいだろう。処刑とは何とも泥棒らしい最期だな!がっはっはっはっ!」 五右御門は自分の最期が余程気に入ったのか機嫌よくゲラゲラと笑っている。 いかにも盗賊団の親分らしいが、死ぬことが怖くないのかなぁ・・・ その後、五右御門は未来のことについていくつもの質問を繰り返す。玲人は、それに精一杯答えつづけた。 「それでよぉ玲人。おめぇこれからどうするんだ?」 一通りの質問が終わった後、五右御門は不意にそう聞いた。 「これから・・・ですか?」 そういえば考えていなかった。 もちろんもとの時代に戻る! ・・・でも、どうやって?もちろんこの時代にはタイムワープ装置は無い。っていうか、じいちゃんが発明するまでこの世には存在しない。 そもそも、この時代でどうやって生きていこう・・・。 「おめぇ、行く宛がねぇんだろ?」 「はい。」 「だったらおめぇ・・・ここに住んで俺とともに泥棒やらねぇか?」 「えぇっ!?」
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