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「泥棒!?」
俺が・・・?
いや、そんなのありえない。
俺の父さんは警察官だ!
悪人に立ち向かい、必ず逮捕する父の背中を見て育った玲人にとって泥棒は敵。そんな奴らと行動したくない。
それに、警察官の息子が泥棒をやるなんてありえない!
「嫌です!泥棒はやりません!逮捕しますよ!」
「やらねぇ・・・だと?」
五右御門の声がいっそう低く、厳しくなる。玲人を見る目線もさらに鋭くなった。
「おめぇ、自分の置かれた状況はわかってるのか?」
「もちろんです!でも盗みなんて・・・」
「もういいっ!!」
五右御門は怒鳴り付けた。
「そんなに泥棒が嫌だと言うのならここから出て行け!」
「なっ!」
「てめぇの服は返してやる!だからさっさと出ていけ!!」
五右御門は凜から服を取り上げると、玲人の目の前に放り投げた。
玲人はその服を抱えると障子を開け、外に飛び出した。
「本当に良かったのですか?」
玲人の姿が見えなくなった後、凜が心配そうに言った。
「なぁに、あいつなら大丈夫だ。」
「本当に?」
「ああ、わしには分かる。玲人は、必ずここに帰ってくる!」
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