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「あ~あ・・・」
木が鬱蒼と繁る山の中。
日は傾きかけ、オレンジ色の光があたり一体を照らす道を、玲人はただ一人とぼとぼと歩いていた。
「なんであんなこと言っちゃったのかな・・・」
確かによく考えてみれば、俺は未来からこの時代にやってきた。頼るものも無ければ、住む場所もない。つまり、独りぼっちだ。
このままでは飢え死にしてしまうのがオチ。未来へなんか帰れない。
やはり、戻って仲間に入れてもらうしかないのだろうか・・・
「いや、そんなのは嫌だ!」
俺は警察官の息子だ!
泥棒なんかやるもんか!
玲人はただふらふらと歩いていたが、ハッと我に返る。
どこからか川の流れている音が聞こえる!
よし、行ってみよう!
玲人はその音のする方へと走り出した。
その川は、すぐ近くにあった。
さほど大きくは無いが、流れは緩やかで清らかな水が流れ、さらに所々で魚が泳いでいる。
これなら飲み水や食料には困らないだろう。
「あっ!」
その川をじっと見つめていた玲人は、岩の上に落ちている物に目が止まった。
あれは・・・間違いない!
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