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チュン チュンチュン...
ふぁぁぁ~
鳥の鳴き声で目を覚ました玲人は大きな伸びをして起き上がる。地べたに寝転がっていたのが原因なのか、首と背中と腰が痛い。
最悪の寝起きだ。
「どっこいし痛てて・・・」
玲人は立ち上がると、洞穴を出て近くを流れる川に向かう。清らかで冷たい水で顔を洗い、うがいをする。
今の時間は何時なんだろう・・・
袴の下に履いたズボンのポケットからケータイを取り出すと、時間を確認した。
10時23分。
着信ナシ。・・・当たり前か。
でも、この時間はあっているのかな?
まあ信じるしか無いか。今この状況で時間を知る術はこのケータイしか無いんだから。
ぐぅ~~~ぎゅるるぅ...
「うっ・・・」
そういえば、昨日の夜から何も食べていない。盛大に鳴ったお腹をさすりながら、玲人は川の中を覗き混む。
魚はあちこちで気ままに泳いでいる。こいつらをどうやって捕まえようか・・・
周りには竹が何本も生えている。こいつらを活用すれば何かしら作れるのかもしれないが、竹を加工するための道具は何一つ無い。
さあ、どうしよう・・・
こんなところで飢え死にしたくない。
こうなりゃあ自棄だ。
待ってろ魚め。俺が残らず捕まえてやるからな!!
玲人は川の中に飛び込むと、無我夢中で魚を捕まえ出した。
あれからどれだけ経ったのだろう・・・。
辺りはもう既に真っ暗になり、時々梟がなく声が聞こえて来る。
玲人はずぶ濡れの状態で川辺に横たわり、星の輝く夜空を見上げていた。
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