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横たわる玲人のそばには、たくさんの魚が積み上げられていた。まだピチピチと跳ね回っている奴も数匹いた。
無我夢中で必死で何も考えず、ただ魚を捕らえることだけを考えていたので、その間の記憶はものすごく曖昧だ。
何故今自分が素っ裸でいるのかについても。
ただ・・・
「ものすごく疲れた。体が重い。」
横たわっている状態から起き上がることが困難なほど疲労が蓄積してしまった。
ここでこんな状態では凍死してしまう。
それに、この魚をアジトまで持って行かないと・・・
「・・・よし。」
玲人は何とか起き上がると、濡れたTシャツで魚を包み、両腕で抱えて込んでアジトまで持って帰った。
パチ パチパチ...
音を立てて燃える火を見ながら、玲人はただぼーっとしていた。
捕まえた魚の中の数匹を火の周りに並べられた平たい石の上に置き、焼き上がるのを待っていた。
後少しでいい具合に焼けそうだ。
「もういいかな・・・」
玲人は焼けた魚を掴むと、勢いよくかぶりつく。
魚は程よい感じに中まで火が通っており、とても美味しかった。何も味付けをしてないが、そのお陰で魚本来の味を味わうことができた。
焼いた魚すべてを食べ終えると、寝床に寝転がる。かなり疲労が蓄積されているし、満腹になったのも相まってものすごく眠い。
・・・でも火はしっかりと消さなくちゃ。
玲人は土を被せて火を消すと、目をつむり、そのまま眠りに堕ちた。
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