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悲鳴が聞こえた所に近づくに連れ、かすかに鼻を突く嫌な臭いが漂っている。
この臭いは・・・?
それに、誰だろう?
男の声が聞こえて来る。しかも2人。
何か話しているのだろうか・・・
草村の影から覗き見ると、そこには如何にも侍という出で立ちの男が2人、何かを話しているようだ。牢人なのかな?刀を抜いている。
しかし、それ以外にもう1人いる。いや、いたと言うのが正しいと思う。
その2人の足元には背中を斬られ、血をどくどくと流して倒れている男がもう一人いた。
おそらく、既に死んでいるのかもしれない。
かすかに感じたあの嫌な臭いの正体はこの男が流す大量の血の臭いだったんだ・・・
腹の中から何かが込み上げて来る。
吐きそう・・・
「うっ!」
「ん!なにやつ!?」
うげっ!
「貴様、そこで一体何を見ておる!」
牢人の中の一人が玲人の存在に気づき、こちらを指差す。
完全に居場所を知られてしまった。
玲人は恐る恐る草村から這い出した。
「なんだ、ガキか。」
「そこで何を見てたのかは知らぬが、見たからには生きて帰さぬ。」
牢人の二人は刀の切っ先を玲人に向ける。
玲人は思わず杖として活用している棒を構えた。
俺は絶対に生きて帰る!ここで死ぬわけには行かない。
剣道2段の腕前、見せてやる!!
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