第二幕  山

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生まれてはじめて構える真剣の感触。剣道でいつも使っている竹刀よりも遥かに重量感がある。 「「おおっ!!」」 玲人に向かって、今度は2人の牢人が同時に迫ってきた。 この状況では完全にこちらが不利だ。どちらか片方を倒しても、その隙にもう一人の方の斬撃を受けてしまう。 どうやって切り抜ける・・・ そうだ! 玲人は地面を思いっ切り蹴り上げた。 蹴り上げたことにより、地面に落ちている葉っぱや土が2人の牢人に降り懸かる。 そしてすぐに走り出し、頭と胴を刀で切り付けた。 ドサッ    ドサッ 牢人の2はその場に崩れ落ちた。 立っているのは玲人ただ一人。 「はぁ・・・はぁ・・・・・」 玲人はその場に座り込む。 真剣を持った人との初めての真剣勝負・・・。初めての生死を賭けた戦い・・・。初めての修羅場・・・。 これらを何とか勝ち抜くことができた。 でも、 「うわぁぁぁ・・・」 人を・・・人を殺してしまった。 未だに人の肉を切り裂いた時の感触が生々しく残っている。払いのけようと、両手を振っても振ってもちっとも消えない。 2人の牢人は血を流し、地面に倒れている。それに玲人は返り血を浴び、着物や顔に血が付いてしまった。 一旦アジトに帰ろう。 玲人は力無く立ち上がると、草村の影に置きっぱなしの収穫品を持ってアジトに向かって歩きだした。
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