プロローグ

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「お、あったあった。」 壁際にある本棚を隈なく探した玲人は、ようやく目的の本を見つけた。 それはタイムワープ装置のすぐ近くにある、無造作に積み上げられた本の山のなかにあった。 しかもその本の上には、十冊を超えるほどの本が積み上げられ、少し動かしたら崩れそうだ・・・。 「ゆっくり、そっと・・・」 玲人はその本に両手をかけ、ゆっくりと引き抜く。なぜそうしたのか。それは本を退かすのが面倒臭いからだ。 後少しで引き抜けるとき、本の山が今まで以上に大きく揺れ、崩れ落ちてきた! 「うわっ!!」 たくさんの本が、まるで雪崩のように押し寄せてきたので、玲人は思わず尻餅を着いた。 やっぱり素直に退かしておくべきだったなー。 ゴーーー 突然鳴り出した機械音。 この音は・・・たしか機械が稼動しだしたときに鳴るエンジンの音! まさか!? ふとタイムワープ装置を見ると、所々にランプが点り、低い唸り声を上げて動き出していた! そして、その機械の上には2冊の本が乗っている。 おそらく、本が崩れたときに本が機械に当たった拍子に稼動しはじめたようだ。 てかこれ、どうしよう・・・ 「これどうやって止めるの!?じいちゃーん!」 じいちゃんを呼んでも、何の返事も聞こえない。もしかして寝てるのか!? ってか早く止めないと! 「ん・・・?」 ふと気がつくと、周りがだんだんと明るくなっていく。 そして玲人は、ある重大なことに気づいた。 玲人が今立っている場所。 それは、タイムワープ装置の前にある、ものをワープさせる機械の上。 「あ・・・」 玲人は慌ててそこから飛び降りようとしたが、時既に遅し。 タイムワープ装置は、玲人を別の時代に送り出してしまった。
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