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ストローをくわえポカンとするマコトの、ガラスのコップからシュワシュワと炭酸の泡がはじける。
「……真理子さん、帰って来たのか」
小さな丸いテーブルを挟み、向かいに座る奏之介がため息混じりにそう呟いた。
「なんで、こんな時期に? 海外転勤になったばかりだぜ……。まぁいい、マコト、逃げるぞ」
奏之介は立ち上がり、マコトの手を掴む。
「奏之介様。それはなりません! 実は……マコトさんの事がバレました。いや、私が奥様に申し上げました」
「!?」
奏之介の掴んだ手に、グッと力が入る。
薄茶の前髪がさらりと揺れ、その間から印象強い黒目勝ちの瞳を、更に大きく見開かせた。
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