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「どうだい、ソフィア。引っ張り出せそう?」
パソコンを操作して情報を洗い出しているソフィアは頷く。
「なかなか食い付きがいいわ。さすがに敏感ね。」
釣り上げようとしているのは、民間警察官と港湾警察。ここ数日はファミリーと連合に好きなようにやられてばかりで気が立っている。釣り上げるのはそう難しいことではない。
ましてや、こちらが垂れ流した情報は嘘ではない。
「いつもは横やりばっかりで邪魔だけど、税金分はせめて働いてもらわないとね。」
「税金を払ってない身分の台詞じゃないけどね。」
などとしょうもないやり取りをしていると、百合江が現れた。
「信太、こっちは準備できた。あいつら、もうポイントでスタンバイしてる。」
━━━━今回の作戦は、簡単に言ってしまえば炙り出すのがメインだ。
あの座標データのポイントをつつき、追い込んで狩る…ポイントは全部で7ヶ所━━━━7分の1でシャミルにぶつかる。
情報を集めてシャミルがいるであろう場所は絞ったが、それでも確証はない。その手で仕留められれば御の字だ。
「ヤン、得物の準備は?」
「できてるよ。いきなりの注文だったからダージリンからグレネードは預かってこれなかったけど、部品取り寄せたからミニミも使える。」
「上等。リック、船は?」
(エンジンは絶好調さ。港湾警察なんかケツにくっついたりもできやしないよ。ジェットスキーも用意できてる。)
傍にいるヤンと操舵室のリックから返答があると、百合江は腕時計を見てやきもきしているようだった。
たまらず、信太は言う。
「ユリちゃん、準備は順調だ。まずは一服しよう。焦りは良くない。」
本当にシャミルを仕留めることができるのか…ここまで根回ししても百合江はまだ策を練り足りないらしい。
もちろん信太もそう。抜かりがあってはならないと気を張ってはいるが、それでも張りつめたままでは疲労し、肝心な時に実力を発揮できなくなってしまう事もある。
甲板に出た百合江を追って潮風にあたる信太。
ふと、百合江が言う。
「わかってる…落ち着けって言いたいんでしょ?」
「気持ちはわかる。家族を殺されて冷静になれる人間は少ない━━━━だから俺が傍にいる。突っ走ったら引き止めてやる。」
遠くに見える廃墟群を見ながら、百合江はこちらを見ようとはしない。
不意を突いて、信太は後ろから百合江を抱きしめた。
「な、何だよいきなり━━━━」
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