Signal fire~狼煙

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ゴンッ、と盛大にアスファルトにヘッドバッド。 男はその場に倒れて動かなくなった。 「うわあ…こりゃ痛えな。意識も失うわ。」 隣りで紅二が言い、そして蒼一郎は舌打ちした。 …「違う。金髪(ブロンド)じゃない。」 シャミルの特徴であるあのサラサラの金髪━━━━コートについていたフードを被り、陰にその特徴を隠していた男は、黒髪(ブルネット)だった。 では現場となったビルの方はというと、もはや警官隊が完全に包囲。既に銃声すらも聞こえず、時折、怒鳴り声などが響くだけ。 …紅二がハッとした顔で蒼一郎を見た。 「わかっている。ここはハズレだったようだな。」 遅れて到着した警官が4人を怪訝そうに見る。 「君等は何だね?」 「民間警察官です。ちょっと近くに居たものですから━━━━」 咄嗟に灰留が応対し、蒼一郎は紅二に耳打ちする。 「私はこのまま離れる。ここはお前たちに任せるぞ。」 「どこ行くんだよ。」 「他のポイントがどうなったか確認してくる。こうしてここに足止めされているよりは、可能な限り情報を共有した方が良い。」 そうでなくとも、こちらは無駄に時間を取られているというのだ。 他のチームがもし失敗し、それこそシャミルを逃がしてしまう事になれば事件の決着はきっと永久にわからないままになるだろう。 そんな後味の悪い事だけは避けたい。 それとなくその場を離れる蒼一郎を警官が呼び止めようとするが、そこへ紅二が入って事情を説明しているのが、背中越しになんとなくわかった。 蒼一郎は携帯電話を取り出す。電話の相手は、あの情報屋の『トンビ』だ。 …数回のコール音。 (…はいはい!) 「こっちはハズレだ。そっちは━━━━」 訊かなくても、彼等が当たりを引いたのは何となく予想がついた。 電話の向こう、お祭り騒ぎがそれを教えていた。 (ビンゴだ!シャミルがいた!) 「今どこにいる?」 (旧港湾地区東側の廃墟だ!今端末に位置情報を送る!) ということは、他はみんなハズレ━━━━情報を統括していた『トンビ』…あいつ、一番おいしい油揚げをかっさらっていくつもりだったのか。 蒼一郎は携帯電話とは別の携帯端末を出す。 既に『トンビ』からのデータが届いている。それを開くと、ナビゲーションソフトが起動した。 すぐに携帯電話の電話帳を開く。相手は紅二だ。 「…紅二、私だ。船団がシャミルを見つけた。」
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