Signal fire~狼煙

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* 「信太!運転代われ!」 言うと早い。 百合江はジェットスキーのブレーキを作動させると傍の浅瀬に跳び、信太がすぐにジェットスキーのアクセルを握る。 廃墟群の東端に差しかかり、これ以上は陸地に逃走経路が広がってしまう…どうにかしてここで仕留めなければ━━━━ 「シャミル!」 奴が廃墟に逃げ込むのを確認するや否や、百合江のマイクロウジが吠えて廃墟を食い散らかす。 ━━━━ガチンッ。 マイクロウジの弾倉が空になり、百合江はすぐに予備の弾倉と入れ替えてシャミルを追いかけた。 …と、廃墟に入ると足音一つ聞こえない…。 高い天井と広いフロア。元々はホテルか何かだったのだろう、1階と2階は吹き抜けで長い階段が螺旋状にフロアを繋げていた。 ここを走り抜けるなんて、いくら強靭な身体を持っているからといっても一瞬では無理だ━━━━ここにきてかくれんぼとは遊び心満点な奴だ。 「わかったよ、アタシがオニってわけだな?ちゃんと隠れてないと穴だらけにしてやるからな?」 …「違いますよ。」 上━━━━見上げた天井。 百合江が反撃するより先に、シャミルの拳がマイクロウジの側面を叩き、百合江の手から鉄の塊が落ちた。 百合江の身体に馬乗りになったシャミルは、あの金髪をなびかせながらふふっと笑った。 「お元気そうで嬉しいですよ。しかもこうして触れ合えるとは。」 「うるさい!どけっ!」 抵抗する百合江の両腕はシャミルによって頭の上に伸ばされ、百合江は無防備な状態となった。 「こうしてゆっくりと触れ合えるのおは嬉しいのですが、あいにく時間が無いもので。それでは、ごきげんよう━━━━」 スッと腕が動く。 ヤバい━━━━覚悟した時、破裂音が響いた。 百合江の顔に飛び散る液体。 それが血液だと気付くのに一瞬の間を要した。 パンッパンッパンッパンッ━━━━銃声はシャミルの後方から響き、シャミルは一足で数メートルを跳んだかと思うと柱の陰へと姿を隠した。 「大丈夫か!」 破裂音の元は、信太が握るベレッタ。 信太は辺りを見渡しながら、百合江の傍でしゃがんだ。 「何もされてない。」 「されかけてたろ?先走んなって。」 百合江はムッとしながらもマイクロウジを拾い上げ、動作するのを確認すると改めてボルトを撃発位置まで戻す。 そこへヤンも現れ、これで頭数も揃った。 「あの変態金髪ヤローは絶対許さない…出て来な!シャミル!」
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