はじまり

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「と、言う訳なんですが……」 「んー、そうか…」  頷きながら呟くマッチョさん。  なんだかとても残念そうだ。 「君がこのジムに来た理由は僕には分からないけど……」  けど? 「そういう事は、米屋のオッチャンに聞けばいいかもしれないな」  おぉ、新しい固有名詞の登場か!? 「もうすぐしたら帰ってくるから、先に中に入ってようか」  そう言って、再び私を建物の中に連れて行こうとするマッチョさん。  そういやこの人、私の手首を掴んだまんまだったな。 「あの、名前まだ聞いてないんですが」  まぁ、別に聞く必要もなかったのだが、ここはマニュアル通りにしてみる。 「あぁ、僕はマイケルだよ」  マッチョさんことマイケルは、爽やかな笑顔で名乗った。  マッチョなのに、無駄に笑顔は爽やかナノネ。 「で、君は?」 「えーと、由です」  こうして簡単な自己紹介を終えた私達は、筋肉臭漂う古びた建物の中に入った…いや。  爽やかマッチョなマイケルに引きずられる状態で、建物の中に入った――が正しいのかもしれない。
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