10月のお題。

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「何ですって!」 郷の言葉に莉子は怒りをあらわにする。 「フッ」 郷は鼻で笑いテクテクと逃げる。 「むっかぁ~。 お待ち!」 郷の態度に腹を立て莉子は追い掛ける。 「んべ」 逃げながら莉子にあっかんべぇをする。 「しめる!」 更に莉子の怒りは上昇する。 ドタバタ ドタバタ 「また始まった」 「さっきの台なし」 「せっかく恋愛に発展するかもと思ったのに」 追っ掛けっ子をする二人をみてクラスメート達はため息をつく。 「コラ! 何暴れてる!」 やっぱりタイミングよく現れる担任。 「げ! 先生!」 担任の登場にクラスメート達はしんとなる。 「外に三人転げてるから中に入って見れば……。 文化祭は授業の一環だと言ったろ?」 眉間にシワを寄せ担任は小言を言う。 「外の三人はオブジェです。 ボランティアでわざと転げてるんです」 すました顔で郷は無茶苦茶な説明をする。 「(うわっ。 無理矢理こじつけた)」 莉子は心の中で静かにつっこんだ。 「まぁ、とにかく悪ふざけも程々にな」 そう言って担任は頭をかいた。 「(悪ふざけってレベルでもないけどな)」 クラスメート達は複雑な顔をしている。 「はぁ~い」 いい子な返事をして莉子は誤魔化した。 莉子の返事を聞き担任は教室を後にした。 「……さっきの俺の言葉でうやむやになっただろう」 ふぅっとため息をついて郷は言う。 「なってねぇよ!」 思わずツッコミを入れるクラスメート達。 何だかんだで楽しい文化祭になった。 郷と莉子は発展しないままのようである。
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