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とある高校のとあるクラスにて。
只今、文化祭の話し合い中。
物語はここから始まった。
……━━
「今回の議題は『文化祭』の出し物です。
何か意見のある方はどうぞ」
ショートカットでボーイッシュな小柄な女生徒、クラス副委員長の安藤 莉子(あんどう りこ)は教壇に立ち仕切る。
「喫茶店!」
「お化け屋敷!」
クラスメート達は口々に言う。
丁寧に莉子は黒板に書いていく。
「……ポピュラーだな」
『喫茶店』と『お化け屋敷』が出たところで今まで黙って皆の意見を聞いていた男子生徒、背が高く中々のイケメンのクラス委員長の高木 郷(たかぎ さと)はボソリと呟いた。
「喋った」
「何てこったい」
ざわざわ……。
ざわざわ……。
彼の発言にクラスメート達がざわめく。
いつもは『鉄壁の男』と言われる程、無口で無表情な郷であるが今回の文化祭はどうやら乗り気のようである。
「珍しく喋ったから気味悪がられてるわよ」
くりくりの大きな瞳で莉子は郷を見た。
「悪かったな」
無表情ではあるがどうやら郷はすねてるようだ。
「でもさぁ、そういった系のベタな方がウケるんじゃないかしら?
『お化け屋敷』は論外よ。
(……あたしが嫌いだから)」
賛否両論とはこの事であろう。
莉子は皆の意見を取り入れたいが苦手なお化け屋敷は取り入れたくないようである。
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