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数日後、文化祭の用意は着々と進んでいた。
「ん~。
いい感じになってきたわね。
皆のおかげね」
飾り付けや衣装が纏まってきたのをみて、莉子はホッと胸を撫で下ろした。
トントン。
「ん?」
肩を叩かれ莉子は振り返る。
「…………」
のっぺらぼうの顔をした郷が無言で立っている。
「ぎゃあ~!?」
咄嗟の事で莉子は驚き大声をあげ、腰を抜かした。
「何だ何だ!
今の悲鳴は!」
どよどよ……。
どよどよ……。
クラスメート達は腰が萎えて座り込んでいる莉子をジロジロと見ている。
「……大丈夫か?」
のっぺらぼうのお面を外し、郷は莉子に手を伸ばした。
「ちょっと、質の悪いいたずらはやめてよ!」
郷の手を借りて莉子はゆっくりと立ち上がる。
「いや完成度を見せようとしただけだが?」
無表情のまま、郷は首を傾げた。
「腰抜かしたあたしが馬鹿みたいじゃん」
ぷぅっと頬を膨らまさ莉子は顔を赤くした。
「……フッ」
莉子から目を反らし、郷は鼻で笑った。
「今鼻で笑った?
ねぇ、笑ったでしょ?」
郷の態度に莉子はムッとした。
「知らん」
いつものように無表情に戻り、郷は知らん顔した。
「そこに直れ!
いや、直らなくてもいい。
とりあえず、あたしに謝りなさい!」
郷を指差し莉子は怒鳴る。
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