10月のお題。

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*** 数日後、文化祭の用意は着々と進んでいた。 「ん~。 いい感じになってきたわね。 皆のおかげね」 飾り付けや衣装が纏まってきたのをみて、莉子はホッと胸を撫で下ろした。 トントン。 「ん?」 肩を叩かれ莉子は振り返る。 「…………」 のっぺらぼうの顔をした郷が無言で立っている。 「ぎゃあ~!?」 咄嗟の事で莉子は驚き大声をあげ、腰を抜かした。 「何だ何だ! 今の悲鳴は!」 どよどよ……。 どよどよ……。 クラスメート達は腰が萎えて座り込んでいる莉子をジロジロと見ている。 「……大丈夫か?」 のっぺらぼうのお面を外し、郷は莉子に手を伸ばした。 「ちょっと、質の悪いいたずらはやめてよ!」 郷の手を借りて莉子はゆっくりと立ち上がる。 「いや完成度を見せようとしただけだが?」 無表情のまま、郷は首を傾げた。 「腰抜かしたあたしが馬鹿みたいじゃん」 ぷぅっと頬を膨らまさ莉子は顔を赤くした。 「……フッ」 莉子から目を反らし、郷は鼻で笑った。 「今鼻で笑った? ねぇ、笑ったでしょ?」 郷の態度に莉子はムッとした。 「知らん」 いつものように無表情に戻り、郷は知らん顔した。 「そこに直れ! いや、直らなくてもいい。 とりあえず、あたしに謝りなさい!」 郷を指差し莉子は怒鳴る。
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