10月のお題。

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ーー…… 文化祭当日。 ……ーー 「いい感じにお客さん入ってるじゃない」 意外にも大繁盛している『お化け喫茶』に莉子はご満悦な様子である。 トントン 「ん? ひぃっ!」 肩を叩かれ振り返った莉子は驚き小さな悲鳴をあげた。 莉子の前にのっぺらぼうのお面にわざわざ顔をかいたものをかぶる郷の姿があった。 しかもそのかいた顔が妙にリアルで気持ち悪い。 「……大丈夫か?」 気持ち悪くなった元・のっぺらぼうのお面をぺろんとはぎ、郷は顔をだした。 「どうにか。 前回ので耐性出来てたし。 てか、パワーアップしてるんだけど」 驚いた拍子に吹き出した額の汗を拭きながら莉子は言う。 「させたし」 ケロッとした顔で郷は答える。 「あっそ。 ん?」 郷に呆れていた莉子は入口を凝視した。 「おやおや。 招かざる客が来たようだな」 莉子の視線を追って郷も入口をみた。 入口にはガラの悪いいかにも『不良です』と言わんばかりの風体の男子生徒三人がいる。 ざわざわ……。 ざわざわ……。 不良三人集の登場に来客達はざわめく。 「なぁアイツら悪名高い三人集じゃないか?」 「先生たちビビってアイツら野放しだからな」 「出よう。 何されるかわかんねぇぞ」 不良三人集が中に入ると同時に、客足が段々遠退いていった。
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