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「何ですか、これ・・・」
アイシャがバハムートに言われた通りの道順でやってくるとそこには荘厳な造りの扉があり、その扉の向こうには数え切れぬ程・・・まるで星の数と同等にあるのではないかという程に多過ぎる本の壁が幾層にもあった。
「おや、ここにいるってことは見回りの兵には遭わなかったのか。」
「運がいいな。」とだけ言ってバハムートは近くの本棚に背を預ける。
「こういうことですか・・・」
「諦めてもいいんだぜ?
諦めることは恥ずかしいことじゃない。無謀にも挑戦して失敗することの方が恥ずかしいものだ。
無謀と勇敢を勘違いするなよ、お嬢さん?」
「さっきからお嬢さん、お嬢さんと・・・私はアイシャ=ノイル・・・ではなくてアイシャ=リヴィテッヒです。」
「それは失礼した、アイシャ。
では俺も改めて。バハムート=オプスキュリア。魔王でナイスガイだ。」
「ナイスガイ・・・ですか?まぁ顔はかっこいいですが・・・」
「じゃあイケメンに修正しておこうww」
「そうではなくて・・・
そんなことよりこの中に本当に人間界へ戻る本があるのですね?」
「俺が嘘を吐いたか?」
「・・・・・・・・・いえ」
「じゃあ俺を信じろ。」
バハムートはそれだけ言うと床に腰を下ろして目を閉じる。
「まぁ何日かかるか楽しみにしてるよ。」
そう言ってバハムートは眠りについた。
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何時間経ったのか、バハムートが目を覚ますとアイシャの姿はバハムートの視界の中には無かった。
「まさかな・・・」
その辺に放り出された如何にも古く絶版になって高価そうな本の数々を踏みつけ、書庫の奥へと進んで行く。
「うぐぅ・・・」
そこには本の山があり、その山からシャンパンピンクのドレスの端が見えていた。
「そんな所で何してんの?楽しいの?」
「むぅ・・・」
「まぁ楽しくはなさそうだな。
それにしても無謀に挑戦するなんてバカとしか言いようが無いね。」
バハムートは本の山に手を突っ込み、アイシャの手を掴んで引っ張り出す。
「それで?諦めはついたかい?」
「まだ・・・半分も調べていません!」
「そうだね。百分の一にも満たないね。」
「ぐぅ・・・・」
「まだぐうの音は出るらしいなwwww」
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