魔王も嬉しくなるとついやっちゃうんだ♪

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「暇・・・・」 立派な椅子に腰掛けた黒い長髪を束ね、赤い瞳の少々変わった姿の男は書類の山の中一人そう呟く。 男は本当に暇というよりも飽きていた。必要な書類に印鑑を押すという単純作業をもう10時間も前から延々と続けていたのだ。 「何々?『魔王様のことを愛でる会』?設立許可に決まってんじゃんwwwwww」 魔王・・・それは人々に恐れられ、魔物や魔族の上に立つ者のことだが、この男はどうやらその例に漏れているらしい。 「バハムート様・・・っていうかバハムート、ちゃんと仕事しろって何回言ったかしら? そんな物の許可出すんじゃないわよ!」 「ギルぅぅぅ・・・飽きた!」 「黙って仕事しないと拷問部屋にぶち込む。」 バハムートと呼ばれた男はギルと呼ばれた女に異様な風貌の一つ、こめかみから生えた山羊の様な二本の頭のサイズに見合った巻き角を掴まれて睨まれる。 睨まれているバハムートは目一杯に涙を溜めて震えていた。 「ギル・・・俺、一応魔王・・・」 「えぇ。だから魔王の仕事をさっさとしろ。」 「・・・・・はい。」 このバハムートという魔王はギルという秘書のような女性よりも立場が下のようだ。 「いいわね、バハムート。その書類の山が無くなるまでこの部屋から出る事を禁じる。」 ギルはバタンと大きな音を立ててバハムートの執務室から出て行った。 「飽きた・・・」 そしてバハムートはギルが出て行くと間髪入れずにその場からまるで霞のように消えてしまった。
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