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まるで地獄のようだった。
至る所に赤黒い血溜りと無惨に打ち棄てられた死体があった。
ついさっきまで激しい戦いがあった場所だった。
荒れ果てた戦場の端に異様に巨大な馬車が停まっている。
その側に一人、薄汚れたマントを羽織った男が居た。
身長は180cm程、髪は完全に真っ白で肌も白い。眼光は鋭く、年齢が分かり難い。
巨大な馬車は六輪で全体が装甲で覆われ、表面には複雑な刻印が施されている。
その馬車を引く馬は一頭だが、それも巨大で体高が2mはある。
横に立っている男が小さく見える。
「……………はぁ」
男は感情を全て無くしたような表情で戦場を眺める。
若干、顔色も悪い。
「…………もう死者しか居ないか」
呟くと馬車に戻り、手綱を取る。
抉れた地面を避けて慎重に馬車を進ませていく。
向かうのは戦っていた一方の陣地がある場所だ。
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