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「ごめんね。勝本さんの前でこんな……。困らせるだけなのに……」
いつも強くて頼りがいのある相手が、今日はこんなに小さく見える。
私は無性に切なく、苦しくなって、いつもと違う弱々しい店長の身体を抱きしめた。
「……今は好きなだけ泣いて下さい。いつか止まりますから。涙は」
「勝本さん……」
「……大丈夫。店長みたいな綺麗な人だったら、他にいくらでも……」
「いないよ……。私を見てくれてたのは彼だけだった……」
「そんな事ない。現にこうして、私だって苦しいです。店長の気持ち考えると……」
「…………」
「ちゃんと、見てる人はいますから」
私がそう言った時、店長の身体が少し離れ、次の瞬間、温かな感触が私の唇に触れた。
一瞬混乱した。でも、すぐにわかった。
私の唇に触れていたのは店長の唇だった。
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